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[働きすぎ日本人]
パソコンで働きすぎを直せ 長時間労働変える社内LAN
報告も指示も電子メールで連絡。会社に行かずに仕事ができる。パソコンが日本人の労働を変えています。仕事中毒の特効薬かも。


「企業内LAN」が持てはやされている。社員が持つパソコンを会社内の通信回線で結ぶ。そうやって、今までは紙に書いていた会議資料や口頭の指示・報告を電子メールでやり取りしたり、社員共有のデータベースへアクセスできるようにしたネットワークのことだ。この最新鋭ハイテク、働き過ぎには、効用ありやなしや。

「今も昔も帰宅は午後六時です。でも、家にいても、思いつくアイデアはフレッシュなうちにすぐネットに叩き込めるようになった」

本間意富さん(51)は言った。「花王」で、石鹸やシャンプーなどの商品開発を担当する部長さんである。花王は、九三年に社内ネットを完成させている。

本間さんは、ズボンのポケットから手帳サイズのパソコンを取り出した。モデム内蔵だから、電話回線さえあればどこからでも社内ネットにアクセスできる。

こんな話がある。最近の花王のヒット商品に「ティント乳液」というのがある。忙しい三十歳代の母親向けに、乳液とファンデーションを一つにした化粧品だ。このアイデアが商品になるまでには、企画、研究開発、マーケティング、工場部門と百人前後が議論に加わっている。つまりネット上での「会議」である。昔なら、 担当者が企画書を持って全国に散らばる部署で説明して回った時間が節約された。その結果、より多人数が加わりながら、かつて十八カ月はかかった商品開発の期間が半分に短縮された。

もう一例。「東芝」の情報システム部企画担当部長、木村裕さん(四八)には約四十人の部下がいるが、毎日顔を合わせるのは十人前後。オフィスが分散しているうえ、フレックスタイム制なので、午前十一時から午後二時のコアタイム以外は仕事場にいるかどうかも分からない。

それでも困らないのは、電子メールで報告や会議の段取りなどをやり取りしているからだ。外回りの社員だと、携帯電話にノートパソコンをつないで、会社に寄らずに報告をして指示を受け、おまけに同僚が何をしているかまで把握できる。こうして「オフィス」の意味が変われば「出社」の意味も変わる。だから、最後は「勤務時間」の定義も、曖昧になってくる。

おもしろい例がある。「富士通」は、九四年から主任クラスから上の社員について、出社・退社時間の管理をやめてしまった(応募制)。何時間職場にいたか、という労働の長短にではなく、労働の「成果」への対価として給料を払うことにしたのだ。

「労働集約型のチームプレーでハードウエアを作る時代は終わりつつあります。ソフトの開発は創造性がものを言う」
人事勤労部長の岡田恭彦さんはそう話す。

コンピューターメーカーとして名の通る富士通も、今では売り上げの四割はソフトウエアである。いいアイデアさえ出せば、会社にいる時間の長短は問わない、というわけだ。この動き、LANの整備と関係があるのだろうか。

試しに私の自宅のパソコンから岡田さんのアドレスへ電子メールで質問を送ったら、一日と置かずに電子メールで「まったくその通りかと」と返信が来た。

「今まで日本の企業では対面が仕事の遂行の中心手段でした。が、パソコン通信で、単に伝えるだけのミーティングはなくなりました」

LAN導入後、東芝は勤務時間を十五分短縮した。今まで顔を合わせないと進まなかった仕事の多くがネット上で処理されている。

(AERA 96.01.15)





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