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■タイアップバブル過ぎ 業界に「失われた10年」


 英語でタイアップ。日本語だと、縛り上げる。緊縛。うわあ、これじゃアエラじゃなくてS●スナイパーだ。もとい。企業と企業が業務提携すること。音楽ギョーカイでは特に、テレビCMまたはドラマの主題歌に楽曲を提供することであります。キムタク検事のドラマに宇多田ヒカルのテーマ曲。そうアレです。

 Jポップが急成長した90年代ってのは実は、タイアップ全盛の10年であります。97年なんて、オリコントップ50のうち何と47がタイアップ曲。タイアップがヒットを作る。ギョーカイの人はそう言って憚りませんでした。パフィーの「これが私の生きる道」(資生堂)、「サーキットの娘」(ヤマハ発動機)あたり、思い出してもらえばよろしい。

 そりゃあおいしい話ですよ、双方にとって。音楽産業にすりゃ、広告主企業のおカネでテレビCMを買ってもらい、曲を大量にオンエアできる。広告主は「楽曲使用料」を免除してもらえる。商才に長けた広告代理店サンは挙って「キャスティング業務」部局を整え、企業とJポップのお見合いに精を出したものです。

 ところが、です。99年になって、まるでポックリと突然死するようにタイアップ曲が売れなくなったんです。トップ50中、タイアップ付きは39曲への落ち込み。その後もタイアップヒット曲って、とんと聞きません。

 原因、諸説ありますが、筆者がはたとひざを打った話はこうです。ある大手レコード店のバイヤーがこう言ってました。「タイアップだし必ずヒットします、前は50枚でしたが今回は100枚入れてくださいってレコード会社の営業が言うからさ、入れるだろ。最初は売れたんだけど、タイアップない曲の方が少なくなっちゃったもんだから、返品の山よ。ヒイヒイ言いながら箱詰めするの、おれたちだぜ。もうダマされるもんかい」

 実は、60秒→30秒→15秒と、テレビCMのオンエア時間はどんどん短くなっています。そんなコマ切れじゃ印象に残らないし、作曲も至難の業。あの楽聖スティービー・ワンダーが書きおろした「FIRE」(キリン・ビバレッジ)でさえ、2回ボツにされたそうですから。

 あるベテランレコード宣伝マンが嘆いてました。「90年代に育った宣伝マンってさ、タイアップ取ることしか売り方知らないんだよなあ」。嗚呼、タイアップバブル。ギョーカイに「空白の10年」ができちゃったようです。黙祷。

(AERA 2001年04月09日)





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