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わが国で最大の影響力を持つヒットチャートといえば「オリコン」でしょう。新聞やテレビもニュースに引用しますし、音楽業界の皆さんも「オリコン1位を目指そう」などとおっしゃる。が、影響力が大きいわりに、データの信憑性を問う声は今まで出てこなかった。67年の創設以来、レコード会社が発表する「出荷数」ではなく「店頭売り上げ」をカウントする組織がほかになかったからです。現在、カウント対象店は2万4千だとオリコンは公表しています。
ただ、「オリコンの数字はある程度操作ができる」という噂はこれまでにもありました。小生も「同社発売の雑誌に広告を買った」「集計先レコード店から買い取りをする」等々と、「オリコン対策費」の存在を示唆するレコード会社員の話を耳にしたことがありますが、検証は不可能でした。
この「オリコン独占体制」を崩したのが、95年に米国からやってきた「サウンドスキャン」です。その情報源は、レジ横のバーコード読みとり機が集計した「POSデータ」。なにせ実際にレジでカネが支払われたCDの数だけを、そのチェーン店と契約のうえ、ホストコンピューターから取得してカウントする。さらには大統領選挙の出口調査から生まれたこのシステム、一店でも買い占めと思しき不自然な数字が集計されると、警告マークが出て自動的に統計から除外してしまう。人為的な操作が入り込むすき間がないのです。米国の音楽チャート誌「ビルボード」は91年からこのデータを使っています。
サウンドスキャンとの比較で初めて、オリコンには独特の「癖」があることがわかりました。例えばサウンドスキャンジャパンによりますと、浜崎あゆみ、桑田佳祐、B’zなどレコード会社の看板スターがアルバムを発売すると、第1週のオリコンでの数字はなぜかサウンドスキャンより高めに出る。2週目から降下し、だいたい20週間の総売上数でPOSデータと合致するのだそうです。1週目のオリコン売上数はレコード会社が宣伝材料に使いますから、なんだか勘ぐりたくもなります。オリコン側に聞いたら「マーケティング方法、協力店数や対象店の違いではないか」「(対策費による影響は)一切ない」と一蹴されましたが。
実はサウンドスキャンの親会社は、傘下にレコード会社を抱える日本ビクター。そう、かつては甘めの数字で満足していたレコード会社も、今やサウンドスキャンを無視できなくなった。98年をピークにCDの売り上げが急落する昨今、甘めのチャートではじいたCDを出荷したあげく、膨大な返品の山を抱えることになったからです。限られた売り場にどの商品を仕入れるべきか頭を悩ませるCD店もまたしかり。
今ではサウンドスキャンのデータは「日経エンタテインメント!」誌にも掲載されています。実は、オリコンの独占的権威はとっくに終わっていたのですね。これからは、オリコンとサウンドスキャンのチャートを比較するのが正確なのかもしれません。
(AERA 2003年02月03日)
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