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■JPOPの行方 カラオケ、着メロの業

 

 

 新年号なんで強引に占いましょう、2003年のJポップ。最盛期に比べ、約2割もレコードの生産額が落ちたって話を旧年本欄でしたんですが、じゃあ歌手やバンドのみなさんが急にビンボーになったかと言うと、そんなこと全然ない。このミステリーを解くカギは「著作権使用料」、つまり作詞・作曲者の著作権に対して支払われるおカネにあります。


 この使用料市場に流れ込むおカネは約1050億円(01年度)。レコード市場約5030億円と比べてください。堂々たるもうひとつの「Jポップ金脈」であります。


 なにせ徴収機関JASRAC(日本音楽著作権協会)がニラミを利かせてますから、ラジオ・テレビはもちろん有線放送にカラオケ、果てはオルゴール、素人コンサートまでタダでは使わせてくれません。


 不思議なことに、レコードの売り上げが98年をピークに急降下する一方で、この使用料市場は拡大を続けました。早い話が、レコードが売れなくて困ったのはレコード会社だけであり、ソングライターは依然おカネが潤沢に入ってハッピーってことです。


 見方を変えればこれ、リスナーが音楽に接するメディアがレコードから何か別のモノに移行しつつある、ともいえます。実はその正体、通信カラオケと携帯電話の着メロなんです。例えば01年度、通信カラオケでJASRACが徴収した使用料は約53億円。さらに、注目株は着メロ。規模はまだ約38億円ですが、こちらは前年比3倍というモーレツな勢いで成長してます。なにせ7280万台の携帯電話があふれる中、着メロは約3割がアクセスする堂々の人気ナンバーワンコンテンツなのです。ちなみに、着メロを1曲ダウンロードすると使用料は5円。


 通信カラオケも着メロも、音楽をデジタルデータで送信、売買する点は同じ。新曲をばらまく宣伝媒体を兼ねている点も似ています。何より著作権者にとっては、誰の曲が何回ダウンロードされたかの記録が必ずホストコンピューターに残るという点で、取りこぼしがなくてオイシイ。新しいテクノロジーが、計100億円近い他国にないJポップ独特の音楽の消費形態を生み出したというわけです。


 ある着メロサイト会社の社長は、ウケる曲の条件を「耳に残るメロディー5秒」と断言していました。


 ちなみに01年度の着メロヒット1位は宇多田ヒカルの「Can You Keep A Secret?」でした。ソウルシンガーだった平井堅が突然「大きな古時計」なんて童謡を歌い出したりするのも、着メロとカラオケを計算に入れた作戦です。


 92年に通信カラオケが登場したときは「巧くない歌手の方が歌いやすくてヒットする」などと言われたものです(PUFFYとか、実際そうなりましたね)が、今度は5秒のメロディーさえ書ければ着メロで大ヒット、Jポップはますますチープかつ浅薄に……いかん、新年早々暗澹たる気分になってきたぞ。

(AERA 2002年12月30日)





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