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■権力に癒着するJポップ おぞましさ感じる不幸

 



 今更言うのも気が引けるくらいですが、政治権力と芸術の握手ほど醜悪なものはありません。自分の力が及ばない自由を、権力は本能的に嫌います。逆に芸術には何をも恐れない表現の自由が必須です。本来、両者は折り合えるはずがない。折り合えるとしたら、それは権力の政治宣伝(プロパガンダ)に芸術が魂を売った時だけでしょう。失礼ながら、国民の人気取りのための「権力の芸者」に成り下がったということです。


 その「芸者化現象」が延々と続くので、小生は頭を抱えています。例えば先月の日中国交正常化30周年記念行事。浜崎あゆみ、谷村新司、酒井法子などが北京でのコンサートに出ていたのはご記憶でしょう。


 中でもあきれたのはGLAYです。コンサート訪中団「名誉会長」の細川護煕元首相に同行し江沢民(チアンツーミン)国家主席に会った彼ら、江氏について「非常にやさしそう」とコメントしたとか。


 まったく寝言としか思えないボケた発言です。いまだに北京政府や共産党について批判する自由さえない、つまり「表現の自由」という、音楽家にとって命とさえいえる基本的人権を保障していない国の元首を「やさしそう」とは一体どういう了見でしょう。


 チベットでの人権問題では、同じミュージシャンが欧米で抗議を続けていることすら知らないのでしょうか。


 Jポップのプロパガンダ協力が活発化したのは、元X JAPANのYOSHIKIが音頭を取った99年の天皇在位10周年記念式典のあたりです。翌年の沖縄サミットでは、安室奈美恵が各国首脳の前で歌う機会を与えられました(彼女の所属事務所から加藤紘一・自民党幹事長=当時=側に1億5000万円の裏金が渡っていたのは本欄でも指摘した通り)。

 おぞましく、グロテスクな現象です。もし本気で日中友好を祝いたいなら、政府のチョーチン持ちなどせずに自主的に中国でコンサートを開いて風穴を開ければいい。音楽にとってこうした政府行事の唯一の利点は、集まる顔触れを見て「権威がほしいだけの俗物」を判別できることでしょう。


 「ロックは反権力たれ」などと時代錯誤なことは申しません。が、せめて「非権力」ではいるべきだ。こんな基本的な原則を改めて確認しなくてはいけないほど、日本のポピュラー音楽は権力者からもリスナーからもナメられているのでしょうか。悲しいことです。

(AERA 2002年10月21日)





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