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なんとまあ古臭い、と仰天しました。「宇多田ヒカルさん、世界へ羽ばたく」。今年2月の朝日新聞の記事なんですが、宇多田ヒカル嬢が「米国の大手レコード会社と契約し、英語のアルバムで米国進出に挑む」んだそうです。いやはや滑稽のあまり脱力しました。だって今どき、ソニーやホンダが米国で新製品を出したってニュースになんかなりゃしません。とっくに諸外国で実力を認められているからです。
一方、Jポップだけは、いつまでたっても国際競争力ゼロのままです。例えば一昨年、日本のCD輸出額は33億5000万円。これは輸入額230億7100万円の、たった7分の1に過ぎません(財務省調べ)。世界のポピュラー音楽大国、米英だけに相手を絞るともっと悲惨。日本は両国からディスクを約144億円買っているのですが、彼らは我が国から14億円しか買ってくれていません。10対1の「輸入超過」です。「日本からの輸出ディスク」には外国音楽家の日本盤も含まれますから、Jポップなど微々たるものでしょう。実際、90年以降に米国ビルボード誌のトップ200に入った日本人は喜多郎しかいないのです。
ご記憶でしょうか。70年代以降、松田聖子ほかJポップのトップスターの「米国進出」はことごとく惨敗でした。日本のレコード市場は世界の中でシェア20%と、40%の米国に次ぐ第2位の大きさなのに、その実態たるや、Jポップを買うのは日本人ばかりで、日本を一歩出ると誰も振り向いてくれない。世界を市場にする「音楽輸出大国」米英とは大変な違いです。
これだけ失敗をくり返したのだから、そろそろ失敗から学ぶべきころじゃないでしょうか。日本の音楽の評価は、自国文化をいちばんよく知る日本人が自分で決めればいいのです。欧米人の威を借りる必要がどこにあるのでしょう。やれ米国ツアーしたとかロンドン録音したとか、宣伝文句を目にするにつけ、「欧米で認められると格が上がる」というカビ臭い西洋コンプレックスを感じて、ウンザリします。世界に冠たるポピュラー音楽を誇るくせに、外国の評価など意に介さないフランスあたりのほうが、よほど自国文化へのプライドを感じさせてくれませんか。
(AERA 2002年08月05日)
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