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■武道館神話どこへ もう効き目はないのよ



 おお日本武道館。ミュージシャンすべての夢とあこがれ、汝の名はBUDOKAN。いつの日か、世界のスーパースターたちが踏んだ舞台に立ち、満場の会衆を沸かし栄光の頂点を極めん。

 そんなあこがれを今も持っておられる方、手を挙げて。誠に申し上げにくいのだが、あなたは完璧なオッサンである。いやね、恥ずかしながら筆者もそう思ってたんです。

 ご説明しよう。過日筆者は、同所の「公演予定表」を一九六四年分から閲覧する機会を得たのだが、今や外国勢より日本勢の方が回数がずっと多いことに気付き愕然とした。例えば九九年。日本人が年八十一回に対して、外国人はたったの十七回。くわあ、知らなんだ。一体いつの間に逆転したのじゃと思ったら、何と八六年。「外タレの聖地」として武道館が威光を放った時代は、実はとっくに終わっておったのだ。

 オールドファンにとっての武道館とは、やはりビートルズ来日公演(六六年)であろう。その後も七〇年代後半まで一万四千席を埋める集客力は外タレにしかなかった。ボブ・ディランやエリック・クラプトンなんて超大物がライブ・イン・ブドーカン盤を発表したのも威光を増した。

 だからこそ、それまで動員二千人だったアリス(谷村新司がいた)が武道館公演を成功させた時(七八年)、「アリスin武道館〜栄光への脱出」なんてニギニギしいLPを出したんです。武田鉄矢がいた海援隊なんざ「嗚呼武道館」ってコンサートまでやったんですよ。「武道館神話」の信者ってのは、この年代以前に刷り込みが行われた世代ですね。筆者も含め。

 でも、今やGLAYが観客二十万人を動員しちゃう時代。谷村さんや武田さんがカワイク思えちゃうじゃないですか。

 思えば会場も増えた。八八年に七万人収容の東京ドームが完成し武道館は動員数の王座からも転落。しかも最近のヤングは、客席で踊って暴れて親交を深めるオールスタンディングギグ、つまりですな、座席なし会場を好むとか。てえことはだね、武道館は「中高年がゆっくり座って音楽を楽しむ場所」になり果てた、ってわけかね。うぐぐ。

 確かに筆者も立ちっぱなしのコンサートってのは腰がツラい今日このごろ。そういえば、松田聖子とか矢沢永吉とか、武道館にこだわる歌手もだんだん高年齢化しているような気が…。嘆息。

(AERA 2001年03月05日)





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