m_p23.gif (8k)



logo_s.gif (1064bytes)



i_1.gif (437bytes)
マイケル・ジャクソンがソニーに愛される理由
歌って踊れるマイケルはMTVが生んだ大スターだ。ソニーの契約アーティストであり、CMキャラクターでもある。ソニーがマイケルを寵愛する理由は?


マイケル・ジャクソンが、新曲「ブラック・オア・ホワイト」の音楽ビデオの3分の1をカットするという事件が、米国で起きた。長さ11分という異例の大作のうち、問題になったのは、最後の4分間。黒豹から変身したジャクソンが、音楽なしで1人ひたすらに踊る、という場面だ。

ところが、その中に、彼が自動車や商店を叩き壊し、ズボンのジッパーを上げ下げして恍惚の表情を見せる、という場面があった。「暴力礼讃だ」「わいせつだ」 放映直後から、苦情の電話がテレビ局に殺到したのである。

ディズニーランドの立体映画「キャプテンEO(イオ)」で主役を演じていることからも分かるように、ジャクソンは、家族そろって歌を楽しめる、いまどきのアメリカでは珍しいミュージシャンである。テレビ雑誌がビデオのオンエアを大々的に予告していたため、視聴率は15.6%の高率。一家そろってテレビの前で待ち構えていた視聴者が多かったことも、騒ぎを広げたようだ。

ジャクソンの対応は素早かった。放映翌日の11月15日には「視聴者に与えた苦痛に対し、深く反省しています」というコメントを発表。全米のテレビ局に配布済みだったビデオテープを回収した。

マイケル・ジャクソンは、MTV(ミュージック・テレビジョン)が生んだスターである。「MTV」とは、81年8月米国に開局した、音楽ビデオだけを24時間流すケーブル・テレビ局のこと。ジャクソンは、一流の監督や撮影技術を使って、その動物のように敏捷で、機械のように正確なダンスをビデオに再現した。MTVは、それを米国だけでなく全世界に流した。コンサートに足を運ばなくても、彼の歌とダンスに接することができたのである。

アルバム「スリラー」(83年)が世界で4000万枚売れ、ギネス・ブックに「世界一売れたレコード」と登録される巨大ヒットになったのは、このMTVの威力だ。

一方、このMTVに早くから注目していた企業が「ソニー」だ。84年1月に日本で初めてMTVを本格的に紹介した番組が「Sony・Music・TV」だったのは、偶然ではない。世界を驚かせたコロンビア映画とCBSレコードの買収も、映像と音楽の両分野で、ソフトからハードまで一貫生産しよう、というのが「ソニー」の戦略であることを考えれば、理解しやすい。この方針にぴったりはまるスターが、マイケル・ジャクソンだ。

91年3月に彼と「ソニー・ソフトウェア・コーポレーション」が結んだ契約は、音楽だけでなく劇場映画、テレビ、電子出版にもまたがる「マルチメディア契約」と呼ばれる。この契約がもたらす利益は10億ドルに上る、と「ソニー」は計算している。

「ブラック・オア・ホワイト」は、ジャクソンが「ソニーのアーティスト」になって初めて出したシングル曲であり、ビデオ。内容は前にも増して豪華だった。映画「ブルース・ブラザース」の監督ジョン・ランディスを起用。「ターミネーター2」で使われたコンピューター・グラフィックをふんだんに使った。製作費は、破格の約5億円。つまり、3分の1カットで1億円以上をドブに捨てたわけだが、10億ドルの利益からすれば、たいした金額ではないのかもしれない。

カットがジャクソン側の意思で行われたことも「ソニー」にとっては幸いだった。「アーティストの表現の自由を尊重する」(ソニー広報センター)という原則を保つことができたからである。

(AERA 92.01.07 )




up.gif (380bytes)

home.gif (613bytes)


u_han.gif (685bytes)
Copyright(C) 1997 Hiromichi UGAYA.