film_p4.gif (8k)
言葉より目の方がより饒舌に感情を物語る人でした。女にもてるのも当然かな。



logo_s.gif (1064bytes)



i_1.gif (437bytes)
金城武
筆者にオニギリを分けてくれた。遊んでやらないと怒るんですよね、とインタビュー中もたまごっちを世話。心の優しい良い人でした。


撮影開始15分前。金城武は楽屋で弁当をぱくついている。台湾人スタッフとの間で飛び交う北京語。隣で聞く僕には、さっぱり分からない。と、振り向いて僕の目の前に弁当を差し出した。
「オニギリ一個、食べませんか?」
きれいな日本語だ。どうもありがとう。
「いいえ」。イルカのような目でにっこり笑うと、また北京語でのお喋りに戻った。

渋く色落ちしたリーバイスにナイキのスニーカー、光沢素材シャツの東京ストリートファッション。さっきから、マルボロライトをくゆらしつつ「たまごっち」の世話に夢中。本当にこの人、何人なんだろう。

「小さい頃はお父さんもお母さんも『あなたは日本人だよ』って言ってたから、自分でもそう思ってた。でも今は深く考えると分からなくなっちゃう。それにもう考える暇もないんで、考えないことにしました」

父は日本人、母は台湾人。国籍は日本、生まれ育ちは台北。金城武の体には、中国と日本の文化が、海の水と河の水のように境目なく混じり合っているようだ。

こんな話がある。香港の映画撮影は遅刻をうるさく言わない。が、金城クン、初めての日本映画の撮影には、必ず時間厳守で行ったそうだ(実は重症の朝寝坊、と聞く)。現場に入る前にまず一礼。「よろしくお願いします!」と挨拶。それが自然に出てきた。

日本人のお父さんは、三人兄弟の末っ子の彼を縛らない教育方針だった。
「うん、うちのお父さんはすごく良いですよ。やることは自分で責任もって決めろ、乞食になったって応援するぞ、って言ってくれるもの」
家庭だけではない。通った台北のアメリカン・スクールでは、米国生まれの中国人、日本人と欧米人が三分の一ずつ。授業はすべて英語。悪名高い台湾の詰め込み式受験教育とは無縁、世界の文化が交錯する自由な空間で育った。

それで思い出したのは、日本で人気が爆発した彼の映画「恋する惑星」「天使の涙」だ。去っていた恋人が帰るようにと、彼女の好物のパイナップルの缶詰を狂ったように集める刑事。閉店後の他人の店に潜り込み、勝手に商売をする男。台本さえ作らないこの二作での演技が他のどの映画より光っているのは、彼が自由な環境ほど実力を発揮するタイプだからなのだろう。

この二作で、日本女性御用達の人気俳優の仲間入りである。が、それを言うと、でもなあ、という風に目をくりくりさせた。

「でもそれは、たまたま今の若い人がこういうスタイルの映画が好きだからでしょう。好きな人が多かったからだけで、それは良い映画だって言えるのかなあ」

「昔は、何となく思ってたんです。日本はアジアに入ってないなって。アジアには壁を作って、西洋には思いきりドアを開けているような国だなって。それが今はアジアの方にもドアを開けている」

映画ができあがると、必ず映画館へ行って見ることにしている。自分の演技を客の一人として見るためだ。
「人気が出たけど、それがどうしたの?」。「文化の違い?それがどうしたの?」。そう言いたげなクールな視線。それがまた、若い世代には魅力なのだ。




up.gif (380bytes)

home.gif (613bytes)


u_han.gif (685bytes)
Copyright(C) 1997 Hiromichi UGAYA.