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どっちがインタビューしているのか分からない質問好き。シェークスピア俳優だっただけあって、ときおり表情が哲学的になる



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デンゼル・ワシントン
滔々と喋り、呵々大笑する。ひたすら威勢のいい、ブロンクスの下町の兄ちゃんだった。社会派俳優かと思ったら、そうでもない。どんな役でもこなせるのが誇りなのだ


「コクジンって、どういう意味ですか?」

いきなり、こんな質間をぶつけてきた。日本語は分からないが、インタビューで頻繁に耳にするうちに興味を持ったそうだ。

「黒(ブラック)い人」ですよ、と説明したら次の質問が飛んできた。
「なるほど。じゃ、白人(ホワイト)は?ハクジン?そうか。じゃ、黄色人種は何て言うのかな?」

そして「黒人」を英語でどう言うのが正しいのか、ひとくさり。
「僕は『ブラック』は使わない。『アフリ力系アメリ力人』がいいね。『ニグロ』はもう占いよ。『カラード』?ひゃー、絶対使っちやだめだよ!」
一気にそう言うと、からからと笑った。

知的で精悍な顔立ちで、米国映画の中の黒人のイメージを向上させた功労者である。最新作「クリムゾン・クィド」での役は、ハーバード大卒のエリート海軍士官。相手役の白人俳優ジーン・ハックマンが、粗暴な叩き上げ軍人を演じでいる。30年前なら、配役が逆だっただろう。
「アフリカ系の男が、世界一強力な潜水艦の指揮を取り、最後は正しい判断を下す。『僕も努力すればああなれる』。そんなメッセージを子供たちに送りたかった。それがあの映画に出演した理由のひとつだ」

この1年半にアクション、サスペンス、探偵ものと3本もの映画に出演し、1本600万から1000万ドルものギャラを取る。街角のスタンドには、彼が表紙を飾る雑誌がひしめいている。40歳にして、俳優としての人気は絶頂を迎えようとしている。

が「マルコムX」のスバイク・リー監督は
「彼が白人なら、もっと早〈に認められていただろう」
と言う。そのことを尋ねてみた。
「他のどの職場とも同じように、当然ハリウッドにも人種偏見はあるよ」

出演する映画にはアフリカ系が一定数雇われているか、チェックを欠かさない。南アのマンデラ大統領に面会した時、100万ドルをその場で寄付したこともある。
伝説の黒人思想家マルコムX。獄中で殺された南アの解放運動家スティーブ・ビコ。人種差別を批判する映画に何度も出演している。さぞかし、ごりごりの社会派俳優かと思ったら、それは違うという。
「同じ役柄ばかり続けるのはいやだ。シリアスな役もやれば、走ったり撃ったりのアクションものもやる」

そして、僕は映画スターじゃない、と念を押した。スターはスターの座に安住したがるが、それよりは様々な役に挑戦して演技力を磨くことに関心がある、と言う。 それもそのはず。役者としての出発は演劇。それも、シェークスピア劇を得意とする。実は、硬派の職業俳優なのだ。

だから、マスコミに自分の家族を出すのも好まない。あえて子供の数を聞いたら、また質問の嵐が返ってきた。
「日本じや子供の数が平均1.2人だっていうじやないか。土地不足のせいか?そういう政策なのか?人口が減ったら日本は将来どうなるんだ?」


1954年12月28日、ニューヨーク市ブロンクス生まれ。父親は教会の牧師。母親は美容師。姉一人、弟一人。14歳のとき両親が離婚。何になりたいのか分からないまま入った大学で演劇と出会う。
87年 「遠い夜明け」
89年 「グローリー」(アカデミー助演男優賞)
90年 「モ・ベター・ブルース」
91年 「リコシェ」「ミシッシッピー・マサラ」
92年 「マルコムX」
93年 「から騒ぎ」「ペリカン文書」「フィラデルフィア」
95年 「クリムゾン・タイド」「バーチュオシティ」「デビル・イン・ア・ブルー・ドレス」
無名時代に結婚したポーレッタ夫人との間に4歳から11歳まで2男2女。





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