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 オリコン訴訟をめぐる報道のなかで、あまりにオリコン側に偏っていて不公平な例をいくつか挙げた。

 こういう民事訴訟の提訴を報道する場合、だいたい「訴えを起こした側」が良く見えて「訴えられた側」が悪く見える。これは現在の新聞報道が持つ文体の致命的な欠陥である。

 特に、民事提訴報道では「原告・被告双方の言い分を聞いて公平に掲載する」という幼稚園レベルの報道のお約束を守っていない場合はそれがひどくなる。ぼくの場合も、「デイリースポーツ」の記事など読んでいると、オリコンはやむを得ず訴訟を起こした善意の被害者で、ぼくはケシカラン悪徳うそつきライターに、ぼくですら思えてくる(笑)。

 そんなことを考えていたら、わりとバランスの取れた民事提訴の記事を朝日新聞で見つけたので「せめてこれくらいは取材して書けよ」という意味で全文を引用しておく。決してベストとは思わないが、オリコン訴訟の大半の報道よりはよほどベターだ。

 訴えられた側=学校側の主張、言い分に下線を引いてみた。

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歌手活動した先生を停職 大阪の私学教諭、無効求める
(2007/01/06  朝日新聞 夕刊)

 シャンソンのコンサートを開いたことを理由に停職処分を受けたのは不当だとして、大阪市城東区の私立小学校の女性教員(54)が、同小を経営する学校法人「大阪信愛女学院」を相手取り、処分の無効確認と慰謝料など353万円の支払いを求める労働審判を大阪地裁に申し立てたことがわかった。

 教員はシャンソン歌手として活動しており、「歌手をするのは憲法が保障する表現の自由にあたる」と主張。これに対し、学院側は「就業規則上、兼業は認められていない」として争う構えだ。


 同学院は就業規則で「職員は、他の事業を営んだり公私の事業や事務に従事したりする場合、所属長(校長)の承認を経なければならない」と定めている。

 申立書などによると、女性教員は76年から同小で勤務し、93年に定期コンサートを開くなどの歌手活動を始めた。毎月数回、大阪市内のライブハウスで開かれるコンサートなどに出演している。

 女性教員は昨年8月に開いたコンサート(入場料3千円、大学生以下千円)の前に、担任をしていた1年生の児童33人に家族の分を含めた約100枚の無料招待券を郵送。学院側は、許可を得ずに「他の事業」に携わったとして、30日間の停職処分とした。

 女性教員側は、コンサート開催の約1カ月前に校長に口頭で伝えて了承を得ていたうえ、利益を得ていないため「他の事業」にあたらないと指摘。同12月5日付で労働審判を申し立てた。

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 この記事は原告・被告の言い分が比較的バランスよく掲載されているのがおわかりだろうか。実際の紙面で言い分の分量を測ってみよう。

 原告のシャンソン先生の言い分=34行 : 被告の学校側の言い分=20行

 つまり原告の言い分:被告の言い分=7:4という概算になる。すなわち、原告側に手厚く被告に薄いのは変わらないが、全体の印象としてはそれほどアンフェアな感じがしない。これは原告のシャンソン先生が「個人」であり被告の学校法人は「組織」であるという事実も関係しているだろう。そして被告は原告の「雇用者」である。力関係から言って、見出しを含めこれくらいの文字数配分でちょうどバランスが取れた印象になる。

 ぼくの記事の場合、訴えた原告のオリコンは企業組織であり、こちら被告烏賀陽は個人である。パワーバランスでいえばプロレスラーと赤子のようなものだ。なのに、プロレスラーに加勢して赤子を叩く記事を書くメディアがうじゃうじゃいる。まったく信じられないような暗黒世界である。「強気を挫き、弱きを助ける」なんて美徳はどこかへ行ってしまったのかね。

 もう、ここまで書けば言うだけ野暮だが、「ライブドアニュース」や「デイリースポーツ」のように、ぼくの言い分が一行も出ていない記事など、お粗末な欠陥商品なのである。

 そういうイロハのイも守っていない幼稚な記事が堂々と流れている。マスメディアの程度もずいぶん落ちたものだ。まったく恐ろしい。

 この際だから、そういうマスメディアの「怠業ウオッチ」も、怠らずにやっていこうと思う。

(070108)



 

 

 

 
 




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